ろぐ
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『告白』
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 どうしても居たたまらなくなって。メールで会話をしていたら声が聞きたくなって深夜、電話をかけてしまった。「どした?」て問うユウに。ただ声を聞きたかっただけのはずなのに。好きだという事を口にしてしまった。

 ダーとは2年半付き合っていることになる。最近大阪勤務が決まって、あたしも仕事を辞めてついていこう、寧ろ一生ついて行こうって。思っていた。この人だったらきっといい家庭が、安定した生活が。平凡ながらそれなりに幸せにやっていけると思う。普通の家庭を築く。それがあたしの夢だったりもする。

 だけどユウは変なヤツだし学生だし年下だし。あまり普通じゃない。保証みたいなものは何もないんだけど。惹かれてしまって。止らなくなってしまった。年々と段々恋愛に関して、「好きだから」だけでついていけなくなった。自分と合う人間だったり、稼ぎだったり。つまんないことだけど大切なんだ。寂しいけれど。そんな年齢になってる。ユウに逢って少しだけ昔みたいな気持ちになってる。

 ダーを嫌いになったわけではないんだ。好きだし一緒の将来を想像するくらいだったけど、ただ単にそれ以上ユウのことが好きになってしまった。ダーは異動で住んだことも無い大阪で独りになってしまって、社会人のはじめは凄く辛いこともあたしはよく解る。だからここであたしが何かを言ったらきっと凄く凹むだろう。離れて暮らしていてもあたしを凄く好きで居てくれることも切実に暖かく伝わるから。期間が短くないだけに思い切りがつかない。

胸が苦しい。

*20030526



『好きな手』
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 映画を見た後、外をぶらぶらと歩いた。昼間は暖かかったのに陽が落ちると寒かった。涼しめな格好をしていたあたしは肌寒くて。歩きながら「寒いよ」て右側を歩くユウの腕に手をまわした。気がついたら手を握っていた。ふたりで手を繋いで夜道を歩いた。

手を繋ぐ事なんて簡単なのだけど。

*20030524


『一緒に寝る』
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 「狭くて散らかってるよ、片すからちょっと待っててよ」「気にしないからいいよ」そんな会話をしながらあたしのウチに向かう電車に乗った。コンビニでビールやらチューハイやらウィスキーを買った。いつも帰る自分のウチのドアにキーを挿すとき、ユウが一緒にいるなんて想像をしたことも無かった。飲みながらずっとずっと話をした。ダラダラしているうちにくっついていた。アルコールに強くないユウは顔が真っ赤。仕事で疲れていたあたしも早くから酔っていた。

 ユウは「過去にトラウマとか凄く厭な経験あるでしょ」て。あたしの眼をじっと見た。「そんなこと言われたの初めてだよ」て笑いながら。言ってみなよって促されて、あたしの過去の痛い話をした。あまり人に言えない痛い話。黙ってユウは聞いていた。ベットに座って壁に寄りかかりながらユウの肩に頭をくっつけていた。話し終わるとユウはあたしの髪を何度も何度も撫でた。心地よかった。「眼を見てるとわかるんだよ」話の感想は何も言わず、只管あたしの髪を優しく撫でた。

 あたしも酔ってたけどユウも酔っていた。「化粧ってしないの?」て。あたしの唇をユウは指先でなぞった。あたしは口紅をいつも塗らない。あたしの好きな綺麗なユウの指先は今度は唇を撫でた。色んな過去の話を二人でした。恋の話も。

 空が白いだ頃。ベットに入った。何をするとも無く左に横たわったユウの肩に顔を埋めて寝た。昼に起きたあたしたちは再びダラダラ過ごし。ご飯を作るのをせがまれたから作ってあげたら感激された。人に作ってあげるのは久しぶりだった。新鮮な空気。長くなった前髪が気になったからザクザクと鏡の前で切った。思いの外、切って短くなった。「思い切って切るなぁ」て言われた。

見送った改札で振り向いて左手を上げたユウは照れていた。

 「前髪短く切りすぎたかな」メールを入れたら「髪は短くなったけど俺はかわいいと思ったから問題無し!」て。携帯片手にあたしはニヤニヤしていたと思う。

それだけで1日頑張れる。

*20030521


『駄々を捏ねる』
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 あたしは3日くらい前に職場が異動した。慣れなくて、知らない人と仕事をするのに気疲れしていた。今まで一緒に楽しく働いていた仲間は遠くで。寂しくて誰かにいてほしくてたまらなかった。しかも今日は偉いさんが来て辞令だとか持って来て。色んなことを根掘り葉掘り聞かれて凹んだ。

 休憩中にユウに「大学だよね?あたし19時上がりだから相手してよ」てメールした。「21時くらいまで大学で課題やってるからゆっくり来な」て。だけど仕事が忙しくなって仕事を上がったのは21時だった。その時間からユウの大学までは40分くらいで。連絡も出来ていなかったからいないかもな、と思いながらスーツに着替え、電車で向かった。ユウの携帯は壊れ気味だけどなんとか会えた。

 雨の中。あたしの傘をユウが持って高田馬場学生街を歩いた。ファミレスに入ってご飯を食べて話をしていた。ユウの終電は早くて「11:15になったら出よう」て言った。あたしはユウの携帯を取り上げ「明日休みでしょ?いいじゃん」て。駄々を捏ねた。でも結局少し遅れて店を出て電車に乗った。あたしはふくれっ面だった。

 ユウは昨日課題で友達の家に泊まって、今日は帰りたいのも解ってたから地下鉄で乗り換えのホームについた途端「早くダッシュしなよ。終電逃すよ!」あたしは諦めた。あたしの変わりようにユウは躊躇しながら「おう、行くな!」走った。走る後姿を見て、ちょっと寂しくなった。

 ヘッドホンをつけあたしも自分の電車に乗ろうと歩いていたら、はあはあ息を乱したユウが目の前に立ってた。どうしてくれんだよ。と言わんばかりに「え?乗れなかったの?」て言ったあたしの肩をガシっと抱いた。そんなことするコじゃないのにテンションがあがってたみたいで凄くビックリした。ユウはウチに来る、て言った。

驚いたけど嬉しかった。鼓動が止まらなかった。

*20030521

『男の人の手』
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 横浜でユウのライブがあった。あたしはひとつ年上の気の慣れた上司と一緒に関内のライブハウスにいった。上司はライブ中に缶ビールを6本飲んだ。あたしはいつもの様にカシスウーロンを飲んでいた。

 ユウのベースのネックを弄るリーチの長い腕はしなやかで。筋張った指先はとても綺麗だった。ステージを照らす強いライトはちょっと音楽に酔ってるユウを浮かびあがらせた。軽く緊張しているユウにあたしと上司は子供を見守る親のように心配していたけれど。とにかくカッコイイの一言に尽きた。

 自分たちの出番が終わってホールに戻ってきたユウはあたしの横にいた。他のバンドの演奏の爆音の中で声が聞き取れないから、ユウは屈んであたしの顔に近づき言葉を交わした。

男の人の手を見てるのが好き。

*20030513


『1日大学生』
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 久しぶりに早起き。前にデェトしたときに待ち合わせた場所で。寝違えて首が左に廻らなかった。雨が今にも降り出しそうで、ちょっと寒いかもだけど身体の線にピッタリとしたTシャツを着た。

 ユウの大学に行った。有名な大学だけど入るのは初めてだった。大学なんて1年ぶり。授業にコッソリ出席した。隣の席でウトウトしているユウがかわいかった。ユウは自分の興味のある授業にはすごく集中していて、話しかける隙間も無いくらいで真剣だった。友達と出くわしたりして「なんか言うわれるだろうねぇ。あの女、誰?って」て言うと。「いいヨ、別に」て。

 昼に学食でたべると。外は雨が降っていた。いつも会う日は天気が悪い気がするけど、いつも傘を持ってない。ユウはあたしの頭の上で手をかざした。そんなことじゃ全然濡れるんだけど、なんだか嬉しかった。

 授業が終わってから、喫茶店で時間を潰した。あたしの異動が決まった話をしたり。暫く海外をヒトリで旅行してきたユウに「仕事辞めたら絶対旅行行くからタイとか案内してよ」て。あたしは冗談じゃなく言った。話しながらユウは寝違えて左に廻らないあたしの首を無理矢理廻そうとした。ユウはあたしの頭を何度も弄り、あたしは何度もユウの手を掴んだ。

 ユウは夕方からバイト。あたしは休み。あたしの突然の異動でもう一緒に働かない。でも、あたしはユウにCDを借りて、DVDを貸した。仕事で会わなくなるけど、この借り貸しは次もまた会えるんだ。とか思った。

学生気分を味わってるみたいな子供な行動。


*20030508


『横浜』
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 前回延期した動物園に行く予定があたしが前の日に飲んでたせいか待ち合わせ時間のユウからのメールで眼が覚めた。焦ってダッシュで横浜に向かった。「ごめんねごめんね」平謝り。ユウは怒らずに1時間半待っていた。けれど動物園は閉園時間に。また延期ってことで。フラフラとあたしの知らない土地を散歩した。ユウのマンションをバスの窓から見たりもした。ユウの地元。

 タイ料理屋で軽く食事をして桜木町。GWで人が溢れていた。デェトコースの王道をうろついて沢山話をした。ユウのベタ惚れだった元彼女との別れた現場にも行った。飲み屋に入ってユウの昔の話とかこれからの考えとか色々語ってくれた。そんなにお酒が強くないユウは顔が真っ赤。今まで知らなかったことも沢山知った。洗い浚い話してくれてなんだか嬉しかった。

 ユウは来月でバイトを辞めると言った。前から聞いてはいたけれど。あたしはユウがいる日の仕事はとってもドキドキして、忙しくても辛くても楽しかった。「辞めるなよぉ」て軽く酔っ払ってたあたしは話が途切れるたびに漏らしていた。「元気出せよ。凹むなよ。」て。あたしが異動するかもしれないこと、仕事を辞めようと考えてることもユウは知ってる。ユウが熱く話してくれた将来の考えも聞いちゃったし辞める事止められないことぐらいは知ってるんだけど。「辞めてもさぁ、遊ぼうよ?」て言ったら「もちろん」て。

 一本電車を逃したあたしと一緒にホームで隣に座って待っててくれた。待ってる間、手の大きさを比べたり、握力計るために手をギュって握ったり中学生みたいなことをしていた。

考え事がまた増えた。

*20030429


『病気再発』
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 バイトのユウと動物園に行こうとメールで盛り上がった。イッコ下のくせに大学3年のユウは学校帰りにあたしは朝までの仕事明けに待ち合わせた。

 あいにく雨がぱらついていたから動物園は延期にした。「どうしようか」の問いかけにユウは「美術館にいきたい」て。あたしは美術館とか行くの好きだからいいけど、22の男の子は初めて遊ぶ女の子に前触れもなしに言うには珍しいなと思った。インドネシア料理を食べたあと渋谷に向かった。

 静かな美術館の中、小声で会話する時180cmのユウが155cmのあたしに合わせて身体を折り曲げ、近づく顔があたしの鼓動を早めた。仕事ではあたしが社員でユウはバイトで。あたしは上にいる立場なんだけど、この日は対等で。寧ろ、甘えれるような安心感があった。

 すぐ横をカップルのように傘を持たないあたしたちは髪を濡らしながら路地を足早に歩いた。真っ直ぐジッと見られると切れ長な綺麗な眼にあたしは直視できなくなってすぐ眼をそらしてしまった。

たぶん、すきになりました。


*20030418

もっとむかし

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